フォトライティングツアー作品集

テーマ:若狭塗箸と伝統工芸士に出会う旅(11月11日)

タイトル:箸と恥

~福井市在住 Y.Nさん~

 

 27年を生きてきたが、恥ずかしいことに箸を上手く持てたことがない。「口に入れば同じこと」と幼少より気に留めまいとしてきたが、3歳の甥っ子が箸の持ち方を矯正されている姿を見て、自分の育ちの悪さをいよいよ認めざる負えなくなってきた。そういうこともあって、もともと箸に対して劣等感を感じていた。

 劣等感を感じていることが、もう1つある。文系出身のくせに、物書きが下手なことだ。テーマに劣等感を感じているにも関わらず、もう1つの劣等感を克服することが、このツアーに参加した理由だ。本日11月11日は、箸国際学術シンポジウムが定める箸の日のようである。奇妙な因縁を感じた。

 文系出身だが、生産の現場を見るのは実に楽しい。トントンと箸を揃えて、シュッシュッと漆を塗っていく古井さんの仕事ぶりは、リズムを生み出す音楽家のようであり、寸分狂わぬ機械のようでもあった。年季を感じさせる仕事道具は、漆が何層にも重なっていて独特の模様を映し出すアート作品であった。芸術もからっきしだったが、漆・貝殻・卵殻の生み出す模様は、松本さんから聞いていた通り若狭湾の海底を彷彿させた。仕事ぶりの美しさが、作品の美しさにも影響しているのだろう。

 生産の現場に触れ、生産者の話を聴く中で、劣等感を感じていた箸に少し愛着を感じるようになった、そんな1日だった。

テーマ:へしこ・なれずしを守る地域の暮らし(12月17日)

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